公務員でも副業しよう!という怪しいブログや発信者がたくさんいますが、はたしてそれは本当に大丈夫なことなのでしょうか?
自分自身も教員であるときからブログとYouTube、そして収益化というのはかなり意識して運営をしていたので、公務員の副業というところについては穴があくのではないかと思うほど調べてきました。
そこで今回はこれまで僕が調べてきた公務員の副業という分野で、実際に処分されてしまった人の事例と、なぜ処分されてしまったかのポイントについてまとめていきます。


そもそも教員はなぜ副業が禁止なの?

そもそも公務員・教員はなぜ副業が禁止なのか。
その理由は、公務員は国家・国民・市民のために働く「奉仕者」としての使命を担っており、職務に対する責任がある以上、特定の私企業に肩入れしたり報酬を得たり行為は慎む必要があるからです。。
さらに特定の私企業との繋がりをもてないというところから、副業も必然的に禁止となります。
教員で簡単に例えるなら、もし副業が認められ合法になった場合、どこかの教科書会社を贔屓にして自校の教科書発注を集中させる見返りにマージンをもらう、みたいなやりとりも副業として認められてしまうかもしれません。
上記は例えですが、ノーリスクで企業との癒着をしてこっそり稼げてしまうリスクなどを鑑みて、税金によって運営している公務員は特に厳しいのではないかと思っています。
また、公務員は私企業と個人的に繋がりをもってはならないというところがモラルのレベルではなく、法律としても決まっています。
- 国家公務員法第103条(私企業からの隔離):営利を目的とする私企業の経営、兼職の禁止
- 国家公務員法第104条(他の事業又は事務の関与制限):非営利の事業団体で事業に従事する場合は、内閣総理大臣およびその職員の所轄庁の長の許可が必要
- 地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限):任命権者の許可なしに営利企業を経営してはならない。また事務も禁止とする
このような記載が法律にもあることから、モラルやマナーの領域ではなく、法律として副業が禁止されている職業というのが公務員となります。
収益発生は全てNGくらいに考えるがちょうどいい

副業が禁止であるということを伝えた一方公務員でも認められている副業があることも事実としてあります。
資産運用は公務員もOKな副業のような扱いで、実際僕も積立NISAはやっていましたし、同僚の先生の中には相続した家を賃貸として貸し出している人もいました。
ですが、これはあくまで公務員の規定に沿った正当な副業。
前例もあって認められているものです。
そのため、前例がないような少しでも怪しいと感じるものや、収益が少しでも発生してしまうことに関しては全てNGくらいに思っておくことが安全策だと思います。
「これくらい大丈夫でしょ、、、」という自己判断が最悪の事態を招くきっかけになるかもしれません。

副業解禁の流れもあるけど、、、

最近は公務員であっても副業をしていいという新たな取り組みを打ち出している自治体があるのも事実です。
ですがこれらも要件をよく確認してみると、教育活動に限定されていたり、社会性の高い活動のみだったり、いわゆる想像するような自由な副業が解禁になるわけではありません。
公務員という立場である以上、今後どんなに時代が進んだとしても自由な副業解禁になることないでしょう。

教員・公務員の副業がバレてしまう理由は?
一般的には副業で収入が上がると住民税が上がって事務や経理経由でバレてしまう、などの事例があげられますが実際のところは違うと思っています。
もちろん上記の方法で見つかってしまう人もいると思いますが、今から紹介する事例を見てみると、住民税絡みでバレた人はいなさそうなんですよね。
シンプルに誰かに自分がやっていることを伝えてしまって内部通報だったり、明らかに悪い勤務態度によって芋づる式に見つかってしまったりと、普段の自分の行動によって見つかってしまう場合がほとんどなのではないでしょうか。
やましいことはしないのが1番ですが、こっそりブログやYouTubeを始めたいと考えている人は収益がない状態でも誰にも言わずにこっそりやるのがよいでしょう。
事例1:消防士/YouTuber
1つ目はゲーム実況で115万稼いだ消防士が懲戒処分という事例。
これは副業をしたい公務員にとって決定的なほど痛手となった判例です。
この1件で判例が出てしまったために、副業として広告収入を得ることやアフィリエイトで稼ぐという選択肢はなくなってしまったといっても過言ではありません。
趣味で実務とは全く関係ないジャンルでなんとか稼ぎたいと思っていた人もいるかもしれませんが、この判例によって事実上趣味的な内容のYouTuberという選択肢はほぼ消えたと言ってもよいでしょう。

処分のポイント
この事例のポイントなるのは営利を目的とする企業の経営、あたりになるでしょうか。
営利を目的とする企業の経営
YouTubeの収益とはつまり広告収入。
自分が商品を売り込むわけではなく、勝手に視聴者が見た広告の数によって収益が発生するというモデル。
そのため、自分で営利目的の活動をしていないけれど、収益は入ってくるという状況になってしまうわけです。
営利を求めた結果報酬として収益が発生されているとは言い難く、一見OKのような感じがします。
ですが、最初の最初には、YouTubeという営利企業に広告を載せても良いという契約が発生していて、その後広告収入がスタートしているわけです。
この最初の許可段階がおそらく営利企業との契約にあたってしまい、処分対象のポイントになるのだと思います。
アフィリエイトと広告収入の取り扱い
正直な話、これまでの法制度だとアフィリエイトや広告収入という収益方法はグレーであるというのが実情でした。
広告収入を得るという段階で、営利企業と契約をして報酬を得ている関係ではあるので、ルールに当てはめるとアウトなのですが、これまで実際に処分された人はいないという状態だったのです。
ですが、この消防士の方が処分されてしまったことで、前例ができてしまい、確定の禁止事項へと変化してしまいました。
アフィリエイトというのは比較的最近の稼ぎ方であり、まだ公務員の規定が追いついていないというのがこれまでの認識ですが、時代によって認められる副業には変化があります。
(例を挙げると、畑が副業として認められているのは農業が盛んだった時期のなごりである、など)
そう考えると、比較的新しいアフィリエイトという稼ぎ方は希望が薄いとはいえ、条件付きでも認可される可能性が0ではなかったと思っていたのですが、この件で事実上の0になってしまいました。
事例2:風俗店勤務/養護教諭
風俗店で働いていた28歳の女性養護教諭を懲戒免職。
これは比較的シンプルで分かりやすい処分事例だと思います。

処分のポイント
今回ポイントは2点。
- 兼業の禁止
- 信用失墜行為
具体的な例が出ているわけではないですが、おそらくこの2点でしょう。
兼業の禁止
兼業の禁止についてはシンプルに、公務員は営利企業と契約して働いてはいけないという規定があります。
この規定により、バイトやUberなど、個人委託・契約職員問わず、所属して働くということは認められていません。
副業の基準として、所属していることや契約をしているかどうかについては意識をすべきだと思います。
信用失墜行為
これはかなり曖昧な規則だと思っています。
公務員は社会全体の奉仕者であるという側面があるので、世間的に見てイメージを壊すようなことはしてはいけないということ。
つまり、炎上系のYouTuberをしていた場合、お金をもらっていなくても処分対象になってしまうわけです。
これと同じで、教員で性産業に勤めるというのは公務員としてのイメージを損ねるということでしょう。
職業が良い悪いではなく、基準は世間的なイメージ。
事例3:転売/市職員

9年で1900万をスニーカー転売で稼いだ市職員。
公務の時間外で販売活動を行っていたということで、メルカリなどのフリマアプリでしょうか。
一見すると、フリマアプリで不用品を売るという行為がなぜ処罰の対象になってしまうか不思議なところですが、これは「やりすぎ」がポイントだと思っています。
処分のポイント
この事例のポイントとしては
- 信用失墜行為
- 古物商許可をとっていない
- 税金未納
上記3つが関わっていると考えます。
信用失墜行為
これはシンプルに公務員が大金稼ぐような副業まがいのことをするな!というイメージの問題だと思います。
公務員なのに2000万近くのお金を転売で稼いでしまうというのはイメージが悪いですね。
そもそも転売が世間的に見るとかなり悪徳な商売の認知があるのでしかたがない気がします。
正直、2000万ではなく、全部で100万くらいの売り上げであれば処分にならなかったような気もするので、この事例に関しては稼ぎすぎたことが1番の問題点だと思います。
古物商許可をとっていない
公務員の副業規定ではなく、普通に法律です。
教員を含め、一般の人であってもメルカリなどのフリマアプリを使用して、物品を売ることは可能です。
ただし、これは不用品や売上に繋がらないような物品の処分などに限ります。
つまり、生計を立てるようなレベルで販売活動をしてしまう場合は、職業としての申請を出す必要があるということです。
これは教員・公務員だからしなくてはならないというような話ではなく、日本国民としての法律です。
このため、職業レベルで販売活動をしている人は古物商の許可を取り、事業を安全に運営できる証明をしなくてはいけないのですが、公務員はもちろん兼業は不可。
今回のケースだと売上を考えると許可を取得すべきレベルであるにも関わらず無認可で営業をしているという判断になってしまったのでしょう。
税金未納
副業関係でよく聞くのが、「20万まであれば所得税の税金はかからない。雑所得として処理できる」というようなこと。
これはつまり、20万以下の個人的な所得であれば税金の納付義務がないから、稼いでもバレないといったような解釈。
今回の事例だと20万を大幅に超えているので、その年度に稼いだ額を確定申告で報告しないと脱税です。
公務員がどうこうの前に日本の法律を犯していることが問題でしょう。
事例4:FXトレーダー/税務局職員
勤務中にFX取引をし、1ヶ月の懲戒処分になった事例。
1年にわたって勤務時間中に自分のスマートフォンからFX取引などを1万5000回以上にわたって繰り返していたとのこと。
株の値動き気になるし、FXだと余計に少しの上がり下がりで利益が変わってしまうので、のめり込んでしまったのでしょう。
処分のポイント
この事例のポイントは職務専念義務違反にあたると思います。
職務専念義務
簡単に表すと、勤務中は勤務に集中する、ということ。
- 勤務中に遊んだらだめですよ
- 私用を優先したらだめですよ
という至極真っ当なルールです。
今回の場合、株の取引をしていたこと自体は問題ではありません。
そのため、この人が株取引で数億円売り上げていたとしても、株の売買は資産運用のうちに入るので公務員だとしても咎められることはないです。
ですがこの人の場合、勤務時間中に取引をしてしまったことが問題で、勤務時間が終わってからであれば何も問題はなかった事例だと思います。
事例5:投げ銭/小学校教諭
比較的新しい事例で2023年11月に発覚した事件。
ツイキャスにて投げ銭を約9万円得てしまい、減給3ヶ月の懲戒処分を受けた事例です。
直接的に金銭を得てしまった他に、視聴者に対して不適切な発言をしたことも処分原因とされています。
処分のポイント
今回のポイントは2つあると考えています。
- 営利を目的とする企業の経営
- 信用失墜行為
営利を目的とする企業の経営
この場合はツイキャスというサービスを活用して、自分という営利企業が儲かるような活動をしてしまったというところでしょうか。
公務員ということで、労務、労働の対価として報酬を受け取ってはならないという規定が出ているので、この辺りに抵触したのではないかと考えます。
シンプルに考えるのであれば、申告をしていない営利活動で金銭を介する報酬を発生させてしまったことが処罰対象なのでしょう。
信用失墜行為
もう1つの理由は信用失墜行為です。
これは記事にも書いてありますが、視聴者に不適切な発言をしてしまったというところ。
この場合、仮に収益を出していなかったとしても、この信用失墜行為は対象になるので、発信活動を趣味としている人は全員気をつけた方が良い項目です。
どうせやるなら正攻法な副業をはじめよう
上記の事例をみてわかるのは、教員・公務員の副業にはちゃんとリスクがあるということ。
基本的には業務に集中して副業などは考えない方が無難でしょう。
とはいえ、お金の悩みは尽きませんし、趣味を活かして稼いでみたい気持ちも捨てきれないですよね。
実は教員にも正攻法で副業する道は残されています。
実際に最近だとコーチングで副業を正式に行なっている教員もいるみたいなので、自分がやりたい活動が副業規定にあたらないか確認してみたり、教育委員会に問い合わせしてみたりすると思わぬ展開が待っているかもしれません。
または、ブログやYouTubeを収益化なしで始め、軌道に乗ってきた段階で転職や独立を検討するという方法もあります。
僕は収益なしのブログを運営して転職に繋げた側の人間なので、ブログやYouTubeを推してしまいがちです。
ブログ始めるならこちらの記事を参考にしてみてください。

絶対に副業をしたいなら転職を検討

成功法で副業を勝ち取る道も残されていますが、それはあくまで狭き門。
もし行いたい副業が教育から外れた内容の副業だとしたら、そもそも厳しいです。
例えば僕の場合はガジェットブログを運営していたわけですが、これは数十年後に副業が自由化すれば可能性がありますが、今すぐに収益化を正攻法で認めさせるには無理があるジャンル。
このように自分がしたい副業ができないのであれば思い切って転職してしまうのも1つの道です。
最近は副業を積極的に認める会社も増えてきたので、副業にいきるような本業を選んで仕事を探してみるのも人生が豊かになるかもしれません。
おすすめの転職サイトはビズリーチ

最近僕も活用しているのがハイクラス転職でお馴染みのビズリーチ。
事前の審査があるという他の転職サイトとは一線を画すサービスですが、年収が500万ほどあると審査に合格しやすいらしいです。
実際にビズリーチを使ってみるとこれまで無料の会員登録で見ていた求人とは比べものにならないほど条件のよい求人がたくさんありました。
探してもまったく見つからなかったベネッセとかクラッシーなどの教育系企業に加えて、年収の高い塾講師の求人など、教育系だけでもさまざまな求人を提案してくれます。
さらに教育系に特化した転職エージェントも多数在籍しているので、教員出身でも安心して転職先を探せます。
今すぐ転職の意思がなくてもキャリア相談だけでも気軽に行えるので、転職に少しでも興味がある場合は話だけでも聞いてみると今後のキャリアプランを具体的に想像できるようになるはずです。


まとめ
正統派な副業以外は基本的に認められていなく、見つかってしまった場合処分は免れません。
公務員の副業は基本的には禁止されているので、バレなかったら良いではなく、規定内で行っていく方法を考えることが健全で安全です。
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